中小企業向け勤怠管理・経費精算SaaS比較|選び方のポイント
勤怠管理や経費精算をいまだにExcelや紙で行っている中小企業は少なくありません。クラウド型のSaaSに切り替えることで、集計作業の手間を大幅に減らせますが、サービスの種類が多く「どれを選べばいいか分からない」という声もよく聞きます。この記事では、代表的な勤怠管理・経費精算SaaSの料金・特徴を比較し、選び方のポイントを整理します。
※料金は2026年7月4日時点で各社公式サイトに掲載されていた情報です。料金プランは変更されることがあるため、導入検討時は必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
勤怠管理SaaSの比較
| サービス名 | 料金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| KING OF TIME | 月額300円/人(税抜)、初期費用0円 | 全機能込みの一律料金。ICカード・生体認証・位置情報など打刻方法が業界最多クラス。導入実績7万社超 |
| jinjer勤怠 | 月額300円〜/人(詳細は要問い合わせ) | 他のjinjerシリーズ(人事労務・給与計算等)とデータ連携しやすい |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | ビジネスプラン月6,480円〜(5名分込み、年払い) | 同社の会計・給与ソフトとシームレスに連携。事業規模別のプラン設計 |
| freee人事労務 | 5名利用で月2,000円〜(税抜、年払い) | freee会計と連携しやすく、年末調整・給与計算まで一体化できる |
経費精算SaaSの比較
| サービス名 | 料金の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド経費 | 50名以下で月2,480円〜(年払い) | OCR自動読取、交通費自動計算、電子帳簿保存法対応、会計ソフト連携が強み |
| freee会計(経費精算機能) | 基本料金+ID料金の従量課金制(基本料金は非公開) | freee会計を既に使っている場合、追加コストを抑えて経費精算まで一体化できる |
| 楽楽精算 | 初期費用100,000円〜、月額30,000円〜(税抜) | 専任担当による手厚い導入サポートが特徴。大企業〜中堅企業での導入実績が豊富 |
| TOKIUM経費精算 | 月額10,000円〜+領収書件数に応じた従量課金 | AI-OCRの精度をアピール。経費精算にかかる時間の大幅削減を訴求 |
5名の会社で試算すると年間コストはどう変わるか
料金プランは複雑で比較しづらいため、従業員5名の会社を例に、勤怠管理SaaSの年間コストを簡易的に試算してみます(2026年7月4日時点の公式サイト表示に基づく概算で、実際の契約時は最新の料金表をご確認ください)。
- KING OF TIME:月額300円×5名=月1,500円 → 年間約18,000円
- freee人事労務(スタンダードプラン目安):5名利用で月額4,000円(税抜)→ 年間約48,000円
- マネーフォワード クラウド勤怠(ビジネスプラン、年払い):5名分込みで月額6,480円 → 年間約77,760円
同じ5名規模でも、選ぶサービスによって年間コストに4倍以上の差が出ることが分かります。ただし料金が高いサービスほど、給与計算・年末調整との連携など機能が充実している傾向もあるため、単純に安いサービスを選べばよいというわけではありません。自社が本当に必要としている機能は何かを整理したうえで、コストとのバランスを考えることが重要です。
選び方のポイント
1. 料金体系が自社の規模に合っているか
「1人あたり定額」のサービスは少人数の企業ほど割安になりやすい一方、「初期費用+月額固定」のサービスは、ある程度の人数規模がないと割高に感じることがあります。まずは自社の従業員数で試算し、年間コストを比較することが基本です。
2. 既存の会計・給与ソフトとの連携
既にfreee会計やマネーフォワード クラウド会計を使っている場合、同じシリーズの勤怠・経費精算サービスを選ぶと、データ連携がスムーズで二重入力の手間を減らせます。逆に会計ソフトを併用する予定がない場合は、連携よりも操作のしやすさやサポート体制を優先して選ぶとよいでしょう。
3. サポート体制の手厚さ
楽楽精算のように専任担当が導入をサポートしてくれるサービスは、社内にITに詳しい担当者がいない中小企業にとって心強い選択肢です。一方で、その分月額費用は高めになる傾向があるため、自社でどこまで自走できるかを踏まえて検討しましょう。
4. 打刻方法・OCR精度などの機能面
勤怠管理であれば、テレワークが多い企業は位置情報打刻やPCログとの連携、工場・店舗勤務が中心の企業はICカードや生体認証といった打刻方法への対応状況を確認しましょう。経費精算であれば、領収書のOCR読み取り精度や、電子帳簿保存法への対応状況も比較のポイントになります。
5. 無料プラン・トライアル期間の有無
多くのサービスでは無料トライアル期間や、小規模事業者向けの無料プランが用意されています。資料やWebサイトの説明だけで判断せず、実際の操作感や自社の運用に合うかどうかを、無料期間中に現場の担当者に試してもらったうえで本契約を判断することをおすすめします。特に打刻の操作性や経費申請の入力しやすさは、実際に使ってみないと分かりにくい部分です。
中小企業におすすめの選び方フロー
- 従業員数が数名〜十数名で、まずコストを抑えたい:KING OF TIMEのような一律料金制の勤怠管理サービスや、freeeのミニマムプランのような少人数向けプランから検討する
- 既にfreee会計またはマネーフォワード クラウド会計を使っている:同じシリーズの勤怠・経費精算サービスを選び、データ連携によって二重入力の手間を省く
- 社内にIT担当者がおらず、手厚いサポートを重視したい:楽楽精算のような専任担当付きのサービスを検討し、費用よりも導入・運用の安心感を優先する
- 経費精算の件数が多く、OCR精度を重視したい:TOKIUM経費精算のようなAI-OCRに強みを持つサービスを比較検討する
導入前に確認しておきたいチェックリスト
- □ 現在の従業員数と、今後1〜2年での増減見込みを踏まえて料金プランを試算したか
- □ 既存の会計・給与ソフトとの連携有無を確認したか
- □ 無料トライアルで実際の操作感を現場担当者に試してもらったか
- □ 自社の勤務形態(テレワーク・シフト制・工場勤務等)に合った打刻方法・機能があるか
- □ 電子帳簿保存法など、法令対応が必要な機能が含まれているか
- □ 導入後のサポート体制(電話・チャット・専任担当の有無)を確認したか
Excelや紙での管理から乗り換える場合は、過去のデータをどこまで移行するか、移行期間中は旧方式と並行運用するかどうかも、事前に社内で決めておくと混乱を防げます。
よくある質問
Q. 勤怠管理と経費精算は同じベンダーのサービスで揃えるべきですか?
必ずしも揃える必要はありませんが、同じベンダー(例:マネーフォワードやfreeeのシリーズ)で統一すると、従業員情報の管理や請求がまとまり、管理の手間が少なくなるメリットがあります。一方で、それぞれの分野で機能・使いやすさに優れた別々のサービスを組み合わせる方が、自社の業務に合う場合もあります。まずは自社にとって「管理のしやすさ」と「機能の充実度」のどちらを優先したいかを整理するとよいでしょう。
Q. 導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
サービスやサポート体制によって差はありますが、シンプルな勤怠管理SaaSであれば、契約から運用開始まで数日〜数週間程度で立ち上げられるケースが多いです。給与計算や会計ソフトとの連携まで含めて本格的に構築する場合は、設定や従業員へのマニュアル周知も含めて1〜2か月程度を見込んでおくと安心です。専任担当のサポートが付くサービスであれば、導入スケジュールの相談にも乗ってもらえます。
Q. 電子帳簿保存法への対応は必須ですか?
電子的に受け取った請求書・領収書等を電子データのまま保存する場合、電子帳簿保存法の要件を満たす形で保存する必要があります。経費精算SaaSの多くは、この法令に対応した形でデータを保存する機能を備えています。紙の領収書を中心に運用している企業でも、今後の電子化を見据えて対応状況を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
勤怠管理・経費精算SaaSは、料金体系や強みがサービスごとに異なります。「安さ」だけで選ぶのではなく、自社の従業員規模、既存の会計ソフトとの連携、社内のITリテラシー、サポート体制への要望を整理したうえで比較することが、失敗しない選び方のポイントです。多くのサービスが無料トライアルやデモを提供しているため、気になるサービスは実際に試してから本格導入を判断することをおすすめします。